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Online edition:ISSN 2758-089X

鼻粘膜におけるNa+/H+Exchangerの発現と局在に関する研究

 Na+/H+Exchanger (NHE)は細胞内外のNa+イオンの濃度勾配を駆動力として用いてNa+イオンとH+イオンを1:1で交換輸送することで細胞内pH調節やNa+イオン,水分輸送を行う重要な膜蛋白である.現在までNHE1~7のアイソフォームが同定されている.気道においては生理学的手法で気道上皮細胞および気道粘膜表面の粘液層airwaysurface liquid (ASL)のpH調節にNHEが関与していると報告されている.しかし,気道,特に鼻粘膜におけるNHEのアイソフォームの同定および局在は知られていない.そこで今回ヒトおよびモルモットの鼻粘膜を用いてNHE1~4のアイソフォームの同定および発現の局在について検討した.まずアイソフォームの同定のためモルモット鼻粘膜のRT-PCRを施行し, NHE 1 , 3のmRNAを検出したがNHE2, 4は検出されなかった.つぎに局在を調べるためヒトおよびモルモットの鼻粘膜のin situハイブリダイゼーションを行った.ハウスキーピングであるNHE 1は鼻粘膜上皮細胞にのみ認めた. NHE 3はNHE1に比べて発現量は少ないが,鼻粘膜上皮細胞に発現していた. NHE 3は鼻粘膜上皮細胞だけでなく粘膜固有層にも発現を認めたが,腺細胞にはなかった.以上の結果からハウスキーピングであるNHE1は,鼻粘膜上皮細胞に特に多く発現していることが明らかとなった.上皮細胞およびASLにおけるイオン輸送, pH,浸透圧調節に,上皮細胞の基底膜側のNHE 1と,管腔側のNHE 3の両方が関与していると考えられた.                                (平成14年2月26日受理)
著者名
福島 久穀
28
2
83-93
DOI
10.11482/KMJ28(2)083-093.2002.pdf

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