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Online edition:ISSN 2758-089X

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大脳皮質神経細胞におけるNicotine長期曝露に伴うL型電位依存性Ca2+チャンネルの機能変化について

 神経細胞への低濃度nicotine長期曝露(0.1μM, 72時間)による電位依存性Ca2+ チャンネル(VDCC)および中枢性nicotinic acetylcholine (nnACh)受容体の機能変化について初代培養マウス大脳皮質神経細胞(神経細胞)を用いて検討した. 30 mM KCI 刺激に伴う神経細胞内への[45 Ca 2+]流入は,神経細胞へのnicotineの曝露時間および濃度依存性に増加した.また,この[45 Ca 2+]流入量はnicotine曝露開始24時間後に最大増加を示し,その後72時間まで継続した. 0.1μ.M nicotine の72時間曝露による神経細胞内への[45 Ca 2+]流入増加は, nnACh受容体阻害薬であるmecamylamineの共存下において完全に抑制された.同様に,L型VDCC阻害薬であるnifedipineの共存下でも抑制されたが,N型およびP/Q型VDCC阻害薬では抑制されなかった.このnicotine処理により[3H]verapamil結合は増加し,しかもこめ結合増加はBmax値([3H]verapamil結合部位数)の増加に起因するものであり,一方,Kd値([3H]verapamilに対する親和性)には変化がなかった. Western blotおよびNothern blot法ではL型VDCC α C, αD, αFおよびα2/б1 subunitの発現が増加したが,それぞれP/Q型およびN型VDCC,α1Aおよびα1B subunit については変化が認められなかった.またL型VDCCβ4 mRNAの発現変化も認められなかった. 神経細胞へのnicotine曝露により[3H]nicotine結合の増加が生じ,この増加は[3H]nicotine結合のBmax値のみの増加によるものであり,Kd値には変化が認められなかった.さらにWestern blot法による検討からこのnnACh受容体subunitであるα4およびβ2 subunit の増加が観察された. nnACh受容体の変化については, Western blot法において,a4およびβ2 subunitの発現が増加したが, α3 subunit については変化が認められなかった. 以上の結果から,神経細胞への低濃度nicotine長期曝露によりnnACh受容体のup-regulationとともにL型VDCCのup-regulationが生じ,これにより神経細胞内への[45 Ca 2+]流入増加が起こると考えられる.          (平成14年2月26日受理)
著者名
毛利 豊
28
1
43-58
DOI
10.11482/KMJ28(1)043-058.2002.pdf

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