Online edition:ISSN 2758-089X
重症急性膵炎43例の臨床的検討
当教室で経験した重症急性膵炎43例について臨床的検討を行った.症例は男性28例,女性15例で,年齢は22-86歳(平均57歳)であった.重症急性膵炎の成因はアルコールが最も多く,胆石,特発性の順であった.治療については21例に保存的治療が行われ,残りの22例には膵酵素阻害剤の持続動注療法などの特殊療法が行われた.短期予後に関しては,死亡例が5例で,このうちアルコール性が4例,開腹手術後が1例で,致死率は12% (5/43例)であった.長期予後については,経過観察中に50%の症例で何らかの併発症が発生していた.胆石例については胆石残存例で高頻度に膵炎再発がみられるため,可能な限り胆摘術あるいは切石術を行うべきであろうと考えられた.アルコール性の症例は高頻度に膵炎再発や慢性膵炎への移行がみられた.継続飲酒例では2例に重症急性膵炎が再発しており,これらの症例に対しては禁酒の励行など日常生活の管理や指導を含めた厳重なフォローアップが必要であろうと思われた. (平成13年9月3日受理)
- 著者名
- 大元 謙治,他
- 巻
- 27
- 号
- 3
- 頁
- 201-208
- DOI
- 10.11482/KMJ27(3)201-208-2001.pdf