初代培養マウス大脳皮質神経細胞への非選択的β-アドレナリン受容体(β-AR)拮抗薬であるnadololに長期間曝露した場合に生じるβ-ARおよびcAMP生成系の発現変化の機能的関連性について検討した.[3H]CGP12177結合はnadololへの曝露時間および曝露したnadolol濃度に依存して有意に増加した. Scatchard解析の結果, nadolol曝露群ではBmax値の有意な増加が認められた.β1-およびβ2-ARへの[3H]CGP12177結合と,それぞれのmRNA発現がnadolol曝露により有意に増加した. Isoproterenolおよびforskolin刺激性cAMP生成はnadolol曝露により有意に亢進した.また, nadolol曝露はAC type Iの蛋白およびmRNA発現を有意に増加させた.以上の結果から, nadololの長期曝露により,初代培養マウス大脳皮質神経細胞ではβ-AR蛋白の発現増加に起因するup-regulationが誘発されるとともに, AC type lのみの発現亢進によるcAMP生成が生じることが明らかとなった. (平成13年3月7日受理)
著者名
垂水 千早
巻
27
号
2
頁
97-110
DOI
10.11482/KMJ27(2)097-110.2001.pdf
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