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Online edition:ISSN 2758-089X

定量的超音波法による脛骨皮質骨の骨量測定の臨床的応用

 定量的超音波法(QUS)は,骨量測定法の中で,操作が簡便で被曝がなく,しかも骨密度(BMD)のみならず,骨質も同時に評価できる特異的な方法である.大部分のQUS装置では,踵骨が測定部位とされるのに対し,近年開発されたQUS装置Sound Scan2000では,脛骨皮質骨の超音波伝播速度(SOS)が測定される.基礎的検討からその基本性能は良好であることが示されているが,臨床応用についての報告は少ない.そこで,日本人女性を対象として, Sound Scan 2000の臨床的有用性を検討した. 女性例における脛骨皮質骨SOSの若年成人の平均(YAM, 25~44歳)は, 3939±84(平均±SD) m/secであった.また, WHOにより提案された骨粗鬆症の診断基準のcut-ofr値であるYAM -2.5 SDに相当するSOSは3729 m/sec と算出された.橈骨または腰椎のBMD測定による骨粗鬆症の判定を, gold standard とした場合, SOS測定は橈骨の骨粗鬆症の感度と陽性予測率が良好であることが示された. SOSの2年間の変化量および変化率は,閉経前24例が7.2±65 9m/secと0.17±1.68%,閉経後21例が-48.9±90.0m/secと-1.29±2.32%であった.閉経後の減少量と減少率はともに有意(p<0.05)に閉経前より大きいことが認められた. 今回の臨床的検討から,脛骨皮質骨のSOS測定は,骨粗鬆症(特に橈骨における骨量減少)のスクリーニング検査として有用であることが示唆された.(平成12年10月16日受理)
著者名
野上 利香
27
1
17-22
DOI
10.11482/KMJ27(1)017-022.2001.pdf

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