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Online edition:ISSN 2758-089X

正常脳と無酸素性脳症の microglia の形態変化の検討

 正常脳におけるmicrogliaの各抗体の染色性と無酸素性脳症におけるmicrogliaの反応性について,ヒトの大脳後頭葉組織を用いて検討を行った. 抗体はRCA-1 lectin, LN-1 , HAM 56, CD68 KP-1 , CD45RA LCA, CD45RO UCHL-1 を使用した.症例は正常脳5例と無酸素性脳症群20例のホルマリン固定パラフィン包埋切片を使用した. 評価方法は,染色されたmicrogliaを形態から4段階に分類し,後頭葉皮質第4層から第6層の部分で,光学顕微鏡の40×10倍の視野で5回計測を行い評価した. 結果は,正常脳の各段階のmicrogliaは,中等度変化群と高度変化群が多く,軽度変化群,無変化群の順であった. RCA-1 lectinとLN-1は形態変化が軽い程microgliaがよく染まり, HAM56, CD 68 KP-1 は形態変化が強い程よく染まった. CD45RA LCA, CD45RO UCHL-1 に染まるmicrogliaはみられなかった. 無酸素性脳症群では,無変化群と軽度変化群には増減はみられなかった.中等度変化群は2週間後で増加し,高度変化群は1ヶ月で増加した. 以上のことから,microgliaの評価には複数の抗体を組み合わせる必要があることおよび,正常脳での形態が無変化群ばかりでなく,中等度変化群と高度変化群が多いことが明らかになった. 無酸素性脳症では,無変化群及び軽度変化群では増減がみられず,中等度変化群,高度変化群は1週間後に増加がみられた.このことから,無変化群が刺激に応じて変化していくのではなく,正常脳でも存在を認めた中等度変化群と高度変化群が増殖する,というmicrogliaのpopulationが複数存在する可能性が示唆された.  (平成11年10月5日受理)
著者名
北畑 龍生
25
4
279-286
DOI
10.11482/KMJ-J25(4)279-286.1999.pdf

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