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Online edition:ISSN 2758-089X

80歳以上超高齢者大腸癌手術症例の検討

 1974年から1996年までの23年間に当科において行われた80歳以上の超高齢者大腸癌手術症例は82例で,全大腸癌手術症例の7.0%を占めていた.これらの症例ついて,同時期における70歳代の症例を対照群とし,超高齢者大腸癌手術症例の臨床病理学的特徴と,周術期における問題点および手術成績について検討した. 超高齢者症例は,年々増加傾向にあり,組織型では分化型癌が82.6%を占め,深達度ss(a1)以上, stage Ⅱ以上の比較的進行した症例が多い傾向にあった. 術前併存疾患は33例(40.2%)に認められ,高血圧症が最も多かった.術後合併症は18例(22.0%)に認め,70歳代とほぼ同率であったが,イレウス,縫合不全,術後譫妄が多い傾向にあった.在院死亡は3例(3.7%)にみられた.術後遠隔成績において,他病死を8例(23.5%)に認めたが,他病死例とstage IV を除いた累積生存率は,70歳代に比べ低い傾向ではあるものの,統計学的な有意差はみられなかった. 大腸癌症例では高齢者といえど年齢のみから手術を制限すべきでなく,きわめて重篤な術前合併症がみられない限り非高齢者と同等の手術を行うことが可能と考えられ, QOLを重視したバランスのとれた治療法を選択していくことによって,良好な予後が期待できると考えられた.                       (平成11年8月4日受理)
著者名
川島 邦裕,他
25
3
165-172
DOI
10.11482/KMJ-J25(3)165-172.1999.pdf

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