h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

慢性結核性膿胸に合併した胸壁原発悪性リンパ腫の1治療例 ―初期化学療法無効後の放射線治療の経験―

 慢性膿胸患者の2.2%に胸壁原発悪性リンパ腫が合併するといわれ,本邦で約100例の報告がある.一般に化学療法や放射線治療に抵抗性で予後不良とされるが,治療内容についての詳細な記載はない.今回我々は化学療法が無効であった本疾患に対し放射線治療を施行した1例を報告する. 症例は72歳の男性.47年前に右結核性胸膜炎,2年前に膿胸を生じ胸膜剥皮術の既往がある.右胸痛と労作時呼吸困難,右上腕浮腫を主訴に1997年10月近医受診.右鎖骨上窩リンパ節腫大とCTで右胸壁に浸潤性に発育する腫瘍を認め,針生検にて悪性リンパ腫(diffuse large B-cell type) stage ⅡEと診断された.CHOP療法を2クール施行されたが無効なため, 1998年1月当科紹介となり,右胸壁腫瘤と右鎖骨上窩リンパ節に対し外照射50.5 Gy を施行した.放射線治療により腫瘍の縮小および自覚症状の改善を得て在宅療養が可能となり,その後も照射野内の腫瘍は制御されていたが,胸・腹腔内にリンパ腫の急速な増悪を来し, 1998年4月呼吸不全のため死亡した.      (平成11年5月13日受理)
著者名
釋舎 竜司,他
25
2
105-111
DOI
10.11482/KMJ-J25(2)105-111.1999.pdf

b_download