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Online edition:ISSN 2758-089X

大腿骨頸部骨折患者における術後せん妄の予測

 大腿骨頸部骨折にて手術を行った患者71名(男性11名,女性60名,平均年齢80.7歳)を対象として,術前の臨床評価と術後せん妄の関連を統計学的に検討した.せん妄の発症者は19例, 26.8%であった.せん妄発症およびDelirium Rating Scale (DRS)は,術前意識障害,不眠,脳梗塞,せん妄の既往,抗パーキンソン薬・H2 blocker ・ 抗うつ薬の三種薬剤のいずれかの使用との関連を認めた.中等度以上の肝障害がせん妄発症と関連し,受傷から手術までの期間,痴呆,呼吸不全,不安状態がDRSとの関連を認めた.多変量解析を行った結果,術前意識障害,三種薬剤,脳梗塞,せん妄の既往,痴呆,術前期間,呼吸不全,不眠の順に高いカテゴリーウェイトレンジが得られ,DRSの予測式(DRSの推定値Y=9.530十各カテゴリーウェイトの和)を作成した.術前意識障害と三種薬剤の術後せん妄に及ぼす影響がとくに大きいと考えられた.        (平成11年6月16日受理)
著者名
山本 博一,他
25
2
97-104
DOI
10.11482/KMJ-J25(2)097-104.1999.pdf

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