h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

抗癌剤による細胞増殖抑制効果,細胞周期に及ぼす影響とHSP27発現に関する研究

[目的]抗癌化学療法時における効果機序の解明のためにG2/M blockを起こす各種抗癌剤について細胞増殖抑制効果および細胞周期に及ぼす影響とHSP27発現との関連について検討した.[方法]卵巣癌由来のBG-1及び子宮癌由来のHeLa細胞に5種類の抗癌剤etoposide(topoisomerase Ⅱ inhibitor),colcemidおよびvincristine(tubulin polymerization inhibitor),paclitaxel(tubulin depolymerization inhibitor),ET-18-OCH3,(membrane-associated anticancer)を接触させ細胞増殖抑制効果をみた.細胞周期はPropidium Iodide(PI)による蛍光染色後,flow cytometer(FCM)により得られたDNAヒストグラムの各周期の割合をMod Fit により解析した.HSP27発現量は間接蛍光抗体法にて染色し,FCMで得られたFluorescein isothiocyanate(FITC)ヒストグラムのmedian channel numberを求め,抗癌剤接触群と無処理群との相対値で表した.[結果]二つの細胞とも抗癌剤の用量依存性に細胞増殖抑制効果, G2/M phaseの増加が認められた.そのうちetoposide,colcemid., vincristineではいずれの細胞においてもHSP27発現が増加しており,G2/M phaseとの問にも相関が認められた.しかしpaclitaxelではいずれの細胞においてもHSP27発現は全く増加しなかった.またET-18-OCH3によってBG-1細胞では,HSP27発現が認められたが,HeLa細胞ではHSP27は増加しなかった.[結論]Etoposide,colcemid vincristineはHSP27発現を促進し,PaclitaxelはHSP27発現を抑制する.ET-18-OCH3によるHSP27の誘導は細胞の種類によって異なっていた     (平成12年9月14日受理)
著者名
田中 泰雅
26
4
203-210
DOI
10.11482/KMJ26(4)203-210.2000.pdf

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