h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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本邦における宮崎肺吸虫ヒト寄生例の概観―文献的考察―

 本邦において1974~1999年の間に報告された宮崎肺吸虫ヒト寄生に関する報文を通覧して症例の一覧表を作成し,疫学的に検討した.その結果, 1999年までの確実な症例は153例(男性122,女性18,性別不明13),および詳細不明症例が25例あった.患者は本邦各地で発生しているが,特に関東地方に多くみられ,東京都が42例(27.5%),神奈川県が35例(22.9%),山梨県が18例(11.8%)の順に多かった.患者の年齢は6~77歳であったが,20~40歳代が85.5%を占めて最も多く,性別では男性が87.0%で圧倒的に多かった.患者の特徴的症状は,本種幼虫保有のサワガニまたはイノシシ肉生食後1ヵ月~2年の間に発現していた.患者における虫体の寄生部位は主として胸腔内であったが,少数例において頭蓋内・皮下組織・前眼房内への異所寄生が認められた.患者の主訴は胸部痛(33.3%)・咳嗽(30.5%)・発熱(10.6%)の順に多かった.患者の臨床症状は胸水貯留(73.2%)・自然気胸(26.8%)・肺異常陰影(22.8%)の順に多く,大多数の患者では末梢血中の好酸球増加が認められた.治療にはビチオノールまたはプラジカンテルの投与が有効で,患者に発現した臨床症状は治療薬服用後1年以内に消失し,血中の好酸球数は速かに正常値に戻っていた.                       (平成12年3月24日受理)
著者名
初鹿 了
26
2
65-82
DOI
10.11482/KMJ-J26(2)065-082.2000.pdf

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