Online edition:ISSN 2758-089X
小児前庭神経炎の2症例
前庭神経炎は「蝸牛症状を伴わない,急激な前庭機能のみ(一側または両側)の障害」と定義されている. 1952年Dix&Hallpikeがvestibular neuronitisの100例の臨床症例を報告してから疾患としての概念が確立され,我が国では日本平衡神経科学会より出された診断基準(1987年)が広く用いられている.疫学的には30~50歳代に多く,若年には少ないとされており,小児の前庭神経炎についてはこれまで若干例の報告しかない.今回我々は,前庭神経炎の2幼児例を経験した.1例で先行する感冒症状を認め,2例に健側向き水平回旋混合性眼振と患側の温度眼振検査の高度反応低下を認めた.2例とも早期に動揺感の消失と頭位および頭位変換眼振の消失を認め,成人に比べ自覚症状や他覚所見の早期の回復を認めた. (平成10年8月8日受理)
- 著者名
- 吉弘 剛,他
- 巻
- 24
- 号
- 2
- 頁
- 101-105
- DOI
- 10.11482/KMJ24(2)101-105.1998.pdf