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Online edition:ISSN 2758-089X

C型慢性肝炎患者の肝組織内における遺伝子発現

 本研究の目的はC型慢性肝炎において肝機能の正常な群(asymptomatic carrier : ASC)とALTの変動のみられる群(chronic active hepatitis : CAH)の遺伝子発現の違いを明らかにすることで,慢性肝炎の進展過程にどのような遺伝子が関与しているかを明らかにすることである.2群間の遺伝子発現の違いはdifferential display reverse transcriptase polymerase chain reaction (DDRT-PCR)法を用いて比較検討した.4種類のアンカープライマーと12種類任意のプライマーを用いて行ったDDRT-PCRによりえられたcDNA産物は, 100組であった.これらのcDNAの中から,gene specific RT-PCRで最終的に5個のcDNAが候補として選ばれた. BLAST analysis で検索した結果, ASC群に共通して過剰発現されたものはhuman STS WI-8782 であった.また, CAH群に共通して過剰発現されたものはhuman mitochondrion, human beta 2 gene for beta-tubulin, human retinoic acid-induced gene G (RIG-G),human STS WI-8930 の4種類であった. 候補として選ばれたcDNAの1つであるRIG-Gは細胞分化に重要な役割を演じている可能性が報告されており,肝障害の進展に関与している可能性が示唆された.                                 (平成10年8月31日受理)
著者名
島原 将精
24
2
83-91
DOI
10.11482/KMJ24(2)083-091.1998.pdf

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