h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

完全房室ブロックに進展した2枝ブロック例の臨床像とその意義

 2枝ブロック(完全右脚ブロック十左脚前枝ブロック)から完全房室ブロックに進展した4症例を経験した.患者は全例男性で高血圧の既往があり,2例で心不全歴を有していた.失神発作で入院した際の心電図や心電図モニターで全例に完全房室ブロックが確認された.2枝ブロックの時期に記録された12誘導心電図では,全例でPQ間隔は正常で,突然完全房室ブロックに移行したものであった.種々の臨床像から,ブロックの原因として脚線維症が推測された.2例にDDD, 2例にvvlペースメーカーの植込みがなされた. 一般に2枝ブロックから完全房室ブロックに進展する頻度は少なく,また徐脈性不整脈による死亡率も低いとされている.しかし,基礎心疾患と関連した死亡率の増加が危惧されるため,基礎疾患の管理を含めた厳重な経過観察が重要と考えられたので,本症の臨床像とその意義について考察を加え報告する.           (平成10年8月17日受理)
著者名
寒川 昌信,他
24
2
71-76
DOI
10.11482/KMJ24(2)071-076.1998.pdf

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