In vitro(37℃)において,生鮮サバから採取したアニサキスI型幼虫(線虫類:回虫目)の数種アルコール飲料および清涼飲料に対する感受性について検討した.その結果,幼虫はアルコール分14~25%含有の飲料中では平均5.6時間,アルコール分2.5~10%含有の飲料中では約5日間(114時間),アルコールを含まない清涼飲料中では約9日間(225時間)生存した.すなわち,幼虫に対する致死効果について,アルコール飲料中では含まれるアルコールの濃度に比例したが,アルコールを含まない清涼飲料中では致死的効果が認められなかった.特に焼酎(アルコール分25%)と梅酒(アルコール分10%)中で致死効果が高く,すべての幼虫が80分以内に運動を停止し,死滅した.梅にはアニサキス幼虫に対する致死効果因子の含まれる可能性が示唆された. (平成10年7月8日受理)
著者名
後川 潤,他
巻
24
号
1
頁
47-52
DOI
10.11482/KMJ24(1)047-052.1998.pdf
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