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コルチ器支持細胞におけるアセチルコリン応答についての検討

 哺乳類のコルチ器は,音刺激によって振動する基底板上に位置し,内有毛細胞(inner hair cell, IHC)および外有毛細胞(outer hair cell, 0HC)の2種類の感覚毛と,これらを周囲から支える支持細胞群により構成されている. 音受容機構は,その全容は未だ完全に解明されておらず,現在も広範囲にわたり研究されている.その中で,音受容には, IHC及びOHCの関与が重要であるが,支持細胞もIHC及びOHCの構造上の支持だけでなく,音受容に関与している可能性が示唆されている. 本研究では,モルモット蝸牛のコルチ器支持細胞群,特にダイテルス細胞(Deiters’cell,以下DCs)及びベンゼン細胞(Hensen’s cell, 以下HEs)のアセチルコリン(Ach)応答性をパッチクランプ法のconventional whole cell mode を用いて,膜電流の変化として調べた.その結果,次の諸点が明らかになった.(1)DCsにおいてAch応答が認められたが,HEsにおいては認められなかった.(2)DCsにおいて認められたAch応答は濃度依存性であり,0HCのAch応答と同様で  あった.(3) DCsにおけるAch応答に対応するAchレセプター(AchR)は,0HCのAchRと同様  にムスカリン様,二コチン様両者の性質を併せ持っている新しいタイプの受容体であ  る可能性が示唆された. 以上の結果から, DCsはOHCの解剖学的な支持だけでなく, OHCとDCsの間に電気生理学的な関連があり,音受容に対するDCsの何らかの関与を示唆するものと考える.                               (平成10年6月15日受理)
著者名
奥 雅哉
24
1
25-33
DOI
10.11482/KMJ24(1)025-033.1998.pdf

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