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Online edition:ISSN 2758-089X

血清 KL-6 が高値を示した放射線肺臓炎の1例

 症例は65歳男性. 1993年1月,咳,咽頭部の痛のため近医を受診,胸部X線写真を撮影したところ,結節陰影が認められたため呼吸器内科に入院となった.入院後,病理組織学的に扁平上皮癌と診断され, CDDP, VDS, MMCの経静脈的投与と,その後の肺癌原発巣に対する放射線療法(55Gy)を施行し, Partial response を得た.しかし,退院後25日目から,発熱,呼吸困難,両側全肺野にわたるスリガラス状陰影を認め,放射線肺臓炎と診断され,再度入院となった.入院後メチルプレドニソロンによるパルス療法,免疫抑制剤の投与が行われたが,呼吸状態は増悪し,死亡した.本症例において肺Ⅱ型上皮から主に産生,分泌されると考えられている糖蛋白抗原であるKL-6が高値を示し,さらに臨床症状,他の検査データに一致して変動した.         (平成9年9月30日受理)
著者名
中島 正光,他
23
2
121-126
DOI
10.11482/KMJ23(2)121-126.1997.pdf

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