著者の所属する教室では,作業関連物質に起因する自己免疫疾患の発症機序について,特に珪酸化合物を中心に解析を行ってきたが,既にその発症機序に珪酸化合物のスーパー抗原作用が関係している事を報告してきている,著者は今回の実験では,珪酸化合物のーつであるクリソタイルにより活性化されたリンパ球におけるアポトーシスの誘導について検討した.まず,ヒト末梢血単核細胞を分離,クリソタイル繊維を添加,培養し,培養後の細胞の形態の観察やTUNEL (TdT-mediated dUTP-biotin nick end labeling)法によるアポトーシスの定量的解析を単核細胞のサブセットについて行った.その結果,リンパ球,特にクリソタイルにより活性化を受けるCD4陽性細胞にアポトーシスが誘導されている事が証明された.またFas陽性細胞におけるアポトーシスの誘導の経時的変化の解析より,このアポトーシス誘導にFas分子が関与している可能性が示唆された.これらの結果からアポトーシス誘導が活性化を受けたクローンの除去に働いている可能性が示唆される. (平成9年4月2日受理)
著者名
愛甲 隆昭
巻
23
号
1
頁
19-26
DOI
10.11482/KMJ23(1)019-026.1997.pdf
川崎医学会は,川崎医科大学ならびに附属病院の教員,レジデント,研修医,大学院生を中心に,医学の研究を奨励し,会員相互の学識を高め,
医学の進歩に貢献することを目的として1975年に設立されました。
本サイトでは,川崎医学会発刊の機関誌(川崎医学会誌/Kawasaki Medical Journalならびに川崎医学会誌―一般教養篇ー)に掲載された論文を紹介し,
本会設立の目的を達成するとともに,広く医学研究に貢献するために開設いたしました。