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マウス腎臓リンパ組織の組織学的観察

 マウス腎臓内リンパ組織の発達と細胞構成を加齢と関連させて明らかにすることを目的として,生後各期の腎臓を光学顕微鏡レベルで観察した.生後30日,90日,180日および1年の雌雄両性ICRマウス総計52匹を用い,摘出した腎臓からパラフィン連続組織切片および1μm厚の水溶性樹脂準超薄切片を作成した.また画像解析装置を用いて連続切片からリンパ組織の立体構築を行った. マウスの腎臓は単一の腎葉からなり,腎臓実質にはネフロンが密在し,結合組織は腎被膜下,および血管周囲や腎盂にわずかに認められる.生後30~90日齢の腎臓内の結合組織中には形質細胞やリンパ球などの免疫担当細胞が少数含まれる.免疫担当細胞は180日齢になると増加・集合し,結節状の一次リンパ小節を形成する.免疫担当細胞の集合は腎臓内の異なる2ヵ所すなわち皮髄境界領域部の結合組織と腎門部の腎盂結合組織中に形成される.腎門部では腎盂粘膜上皮と静脈の間の腎門結合組織内に,皮髄境界領域では弓状動・静脈に隣接ないしは動脈分岐部を取り囲んで約0.1~0.2mm径の結節状リンパ小節が形成される.両リンパ組織は共に形質細胞を多く含み,なかにはラッセル小体を含有するものもある.リンパ小節中には幼若リンパ球や核分裂像も少数含まれるが,胚中心の形成はない.形質細胞は皮質の被膜下結合組織内や尿細管間結合組織中にも単独ないし数個が集合して分布する. 本研究から老齢マウスの腎臓は実質内に一次リンパ小節を含有すること,腎臓リンパ組織は形質細胞を多量に含むことが明らかになった.       (平成9年3月29日受理)
著者名
小川 洋司
23
1
7-17
DOI
10.11482/KMJ23(1)007-017.1997.pdf

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