ウサギ同種骨軟骨殼の保存に関する組織学的研究 ウサギ大腿骨頭の骨軟骨殼(osteochondral-shell)を器官培養法で保存し,静置および攪拌を加えた場合の二つの条件下で軟骨の組織学的変化を検討した.対照として採取直後の大腿骨頭軟骨を用いた.対照群の軟骨細胞生存率は平均85.0%であった.2週間培養では静置,攪拌ともに差を認めず,また4・8週間培養でも有意な差を認めなかった.12週間培養で静置培養では,軟骨細胞生存率は75.2±3.5%,攪拌培養では,86.0±3.4%で静置群と攪拌群の軟骨細胞生存率の間に有意差(P<0.01)が認められた.すなわち,関節軟骨細胞生存率は保存液の攪拌によって上昇し,培養液攪拌は,関節軟骨保存に対して促進的に作用する可能性を示す. (平成8年8月5日採用)