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Online edition:ISSN 2758-089X

虚血性心疾患に対する冠動脈血行再建術

1975年から1995年までに虚血性心疾患407例に冠動脈バイパス術を行った.男331,女76例,男は50歳代,女は60歳にピークを有し,女性に高齢者手術例が多くみられた.心筋梗塞の既往は35.1%にみられ,手術時に安定狭心症であったものが334例,不安定狭心症が61例,急性心筋梗塞は12例で,不安定狭心症および急性心筋梗塞例のうち30例に緊急手術が行われた.冠動脈病変は1983年以降左主幹部,3枝病変が過半数を占め,1枝病変は10%以下であった.バイパス数は5枝5,4枝2,3枝114, 2枝177, 1枝85例で一人平均2.24本であった. 1987年から動脈グラフトを使用し,過去5年間では80%以上の例に動脈グラフトが用いられた.総死亡率は9.6%, 7日以内の手術死亡率5.4%,その後の病院死は4.2 %であった.手術死亡率は安定狭心症の2.4%に対して不安定狭心症では14.8%,急性心筋梗塞では41.7%と高率であった.再手術は26例で原因は静脈グラフトの閉塞が多く,とくに前下行枝に動脈グラフトの使用は遠隔期再手術の防止に有効と考えられた.(平成8年10月15日採用)
著者名
藤原 巍,他
22
3
135-142
DOI
10.11482/KMJ22(3)135-142.1996.pdf

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