幅広い顎裂に対し血管柄付橈骨移植を行った1例 歯科矯正治療の発展に伴い,口唇顎口蓋裂患者に対する歯牙誘導や保定を目的とした二次的骨移植が多用されるようになってきた.しかし,顎裂幅の広い症例に対する遊離骨移植術は生着が困難なことが多い.このような症例に対し,私たちは歯槽部の恒久的保定を目的として,血管柄付橈骨移植術を行った.術後1年数力月の観察で,移植骨の生着状態は良好であるが,一部骨の吸収像も見られる.若干の文献的考察を加えて報告する. (平成8年10月1日採用)