h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

t_toukou

低蛋白血症で発見された骨髄腫関連疾患の一症例

広義の骨髄腫関連疾患には,古典的なmyeloma を始めとして,plasmacytic leukemia,plasmacytoma さらにmacroglobulinemia,lymphoplasmacytic lymphoma などが含まれる.一般的には特徴的検査所見の一つに,血清総蛋白の高値がある.ところが,今回我々は血清総蛋白がむしろ低値であった骨髄腫関連疾患を経験した.症例は85歳女性.貧血軽度,黄疸( - ),肝脾腫( - ),リンパ節腫大( - ),骨病変は軽微であった.検査所見:末梢血 WBC4370/μl,RBC242万/μ l,Hgb8.1g/dl,Hct25.6%,PLT6.2万/μl,Neut70.7%,Lym23.6%,Mono5.0%,Eos0.2%,Bas0.5%.生化学:TP5.3g/dl,Alb2.0g/dl,Glob3.3g/dl そのうちIgG532mg/dl,IgA79mg/dl,IgM2,035mg/dl で,免疫電気泳動にて明らかなM-bow を認め,IgM-κ 型と判明した.骨髄:採取した標本では低形成で,Mgk10/μl,赤芽球15.6%,顆粒球系60.3%,リンパ球系23.8%,そのうち形質細胞1.9% であった.形態学的には,マクログロブリン血症の際にみられるリンパ・形質細胞様の所見であった.細胞表面マーカーの検索では,リンパ球全体ではCD7 33.5%,CD1380.7%,CD19 7.0%,CD20 32.8%,形質細胞ではCD7 21.8%,CD138 57.7%,CD19 21.1%,CD20 39.7% であった.病理検査では,N/C 比が高く異型性のある核を持つ細胞のシート状の集簇が認められた.腫瘍細胞の透過型電顕所見では,核は偏在し,大型のゴルジ野を有し,粗面小胞体はよく発達し,蛋白合成の盛んなことが推測された.細胞によっては,分化度が低く核クロマチンは繊細で明らかに芽球様の細胞も認められた.染色体分析:46,XX.末梢血生化学所見では総蛋白量の明らかな減少が認められたが,その病因は腫瘍細胞によるIgM の過剰産生にあり,その腫瘍性性質のため正常免疫グロブリン特にIgG およびIgA の著しい産生抑制を生じたものと考えられる.細胞学的にはマクログロブリン血症と多発性骨髄腫とにまたがる境界領域に位置付けられるB リンパ球系悪性疾患と推定される. doi:10.11482/KMJ-J40(1)43 (平成26年1月7日受理)
著者名
秋庭 早苗,他
40
1
43-48
DOI
10.11482/KMJ-J40(1)43

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