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Online edition:ISSN 2758-089X

注入用コラーゲンのラット皮内注入後の組織学的変化

皮膚軟部組織の浅い陥凹性瘢痕や変形,しわに対して軟部組織増量の目的で使用される注入用牛アテロコラーゲン,ザイダームコラーゲン注入剤(ZCI),コーケンアテロコラーゲンインプラント(KAI)の2種類に関してラット皮内注入後の経時的変化を組織学的に観察,比較した.ともにH-E染色で真皮から真皮下に好酸性の無構造な部分として認められた. ZCIは周囲組織と境界明瞭な塊状で,経時的にも著変を認めず,コラーゲン内部への線維芽細胞の浸潤を認めた. KAIは周囲組織と一部不明瞭な細かいウェーブ状の境界をもち,濃淡が大きくびまん性に広がっていた.徐々に表層より細かく分散し真皮との混在が顕著で,線維芽細胞の内部への浸潤は少なかった. ZCIが線維性, KAIが非線維性という性状によるコラゲナーゼ分解性の差が2剤の組織像の違いに関与すると考えられた.また真皮内へ注入されたコラーゲンが,真皮下に注入された場合より宿主コラーゲンによる置換が早い.このため,真皮内への注入コラーゲンの混在程度が,両者の経時的な残存に影響していると考えられた.              (平成7年3月24日採用)
著者名
浜崎 多美子
21
1
33-40
DOI
10.11482/KMJ21(1)33-40.1995.pdf

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