無自覚性低血糖症の臨床的観察 無自覚性低血糖症(HU)は重症低血糖症の主要な危険因子である.本研究ではHUの臨床像を明らかにすることを試みた.インスリン加療糖尿病患者250例中2例(0.8%)の急性HUと5例(2.8%)の慢性HUが認められた.慢性HUは全例IDDMで,やせ型,高齢者,低血糖の頻度の高い人に関連してみられ,糖尿病罹病期間の長い人や血糖コントロールが良い人に必ずしも多いという訳ではなかった.HUの主な原因として,先行するインスリン低血糖があげられている.細心の注意を払ってこれを避けることによりHUは回復するとされており,HUにおける重症低血糖症を防止するには,血糖コントロールの目標は正常よりやや高いレベルに設定すべきである. (平成7年7月6日採用)