早期胃MALTリンパ腫の1例 症例は62歳男性.上腹部痛を訴え近医を受診し,胃内視鏡施行したところ異常を指摘され, 1994年1月精査加療目的にて入院となった.上部消化管造影では,胃角部大弯やや後壁寄りに約10 mm大の陥凹性病変を認めた.内視鏡検査では,病変部は周囲に軽度の盛り上がりを伴う発赤した陥凹として観察され,伸展は良好であった. II c型早期胃癌と鑑別を要したが,生検にてMALTリンパ腫と診断された.治療は外科的切除が施行された.切除標本の病理学的検索では,病変は22×15 mmの範囲に限局し,深達度は大部分mで一部smに浸潤していた.本例は,小範囲に限局した早期のMALTリンパ腫で比較的稀な症例と考えられた.(平成7年8月23日採用)