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異物肉芽腫の退縮における血管消退のアポトーチック機序

炎症,とくに慢性炎症に伴い形成された肉芽組織を構成する血管網は,いったん治癒機転が進行すると,今度は消退の過程をたどる.この消退の機序を明らかにするため,ラット背部皮下にコラーゲンスポンジを移植して異物肉芽腫を作成し,コラーゲンの分解吸収による異物肉芽腫の退縮に伴う血管網の消失を組織学的かつ微細構造的に観察した.試料として移植したコラーゲンスポンジを2日目より135日目まで計17回採取し,各日とも,血管内へ墨汁注入後のH-E染色標本,およびエポン包埋による電顕標本を作成し観察を行った.移植したスポンジの空隙は,約30日で肉芽組織により充填された.肉芽組織の単位面積(1 mm2)あたりの血管数は,60日前後より緩やかに減少し,90日を経過すると急激な減少傾向を示した.電顕的観察によって,肉芽組織を構成する血管網の毛細血管,細動静脈において,内皮細胞,周皮細胞そして血管平滑筋細胞の各々の細胞に核クロマチンの濃縮と辺縁化を伴うアポトーチック変化の出現が見られた.このようなアポトーチック細胞の出現は,スポンジ構築が消失する120日目で最多を示した.異物肉芽腫の退縮に伴う血管の消退は,内皮細胞,周皮細胞そして血管平滑筋細胞のアポトーシスによる細胞死と密接な関係がある.                         (平成7年10月9日採用)
著者名
浜崎 多美子
21
3
189-203
DOI
10.11482/KMJ21(3)189-203.1995.pdf

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