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Online edition:ISSN 2758-089X

ラット大腸リンパ濾胞の形態,並びに大腸M細胞(microfold cell)におけるhorseradish peroxidase(HRP)の取り込みに関する研究

ラットを用いて,大腸リンパ濾胞,特にM細胞の形態学的観察を行い,さらにその機能面を検討する目的で,経肛門的にHRPを投与し,大腸M細胞からの取り込みを電子顕微鏡的に観察した.形態学的には,濾胞被覆上皮の管腔面への露出面が非常に小さい点を除けば,M細胞を含め大腸リンパ濾胞は小腸のそれと構造に差異を認めなかった.一方, HRPの取り込みについては,M細胞のみに取り込みから内包するリンパ球へ提示する一連の像が確認できたが,小腸に比べて長時間を要し,観察されるHRPも非常に少なかった.以上より,大腸M細胞は形態学的には小腸M細胞と差異はなく,抗原捕捉細胞として機能していると考えられたが, HRPの取り込みから提示に至るまでの過程には長時間を要し,その量も非常に少なく,M細胞自体に多種・多量に存在する抗原物質に対する防御機構が存在するものと思われた.                   (平成7年10月24日採用)
著者名
武田 昌治
21
3
205-213
DOI
10.11482/KMJ21(3)205-213.1995.pdf

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