出産後にインスリン依存型糖尿病(IDDM)とGraves病を同時に発症した1例 出産後にインスリン依存型糖尿病(IDDM)とGraves病を同時に発症した一例を経験した.症例は28才女性で,出産半年後にIDDMとGraves病を発症したが,それ以前に両疾患の既往はなかった.入院時,ケトアシドーシスの状態で,直ちに輸液,インスリン,ヨード療法,抗甲状腺剤などの投与を開始した.最終的に糖尿病は,持続皮下インスリン注入療法, Graves病は131 I療法により治療した.本症例は,出産後で免疫機構が不安定な時期にIDDMとGraves病を同時に発症しており,その文献的考察と当科での糖尿病と自己免疫性甲状腺疾患の合併例について合わせて報告した. (平成7年12月15日採用)