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Online edition:ISSN 2758-089X

縦隔内副甲状腺嚢腫の1例

縦隔内副甲状腺嚢腫は非常に希な疾患で文献上27例が報告されているにすぎない.今回我々は1症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は62歳女性で,咳嗽と喀痰のため撮影した胸部X線検査にて縦隔内異常陰影を指摘され,当科で精査を行った.甲状腺左葉下極付近より始まり上縦隔へ達する嚢腫性病変を認め,甲状腺嚢腫を疑ってcervical approach にて嚢腫摘出術を施行した.術後組織診断は副甲状腺嚢腫であった.これまで報告されている27例に本症例を加えて検討したところ,副甲状腺機能亢進症状を伴う10例では男性が8例で,伴わない18例では女性が13例で,機能亢進症状と性別に因果関係が認められた(p<0.01, χ2検定).縦隔内嚢腫性病変の鑑別では副甲状腺嚢腫も念頭におく必要がある.副甲状腺機能亢進症状を伴わない症例での術前診断は困難であるが,穿刺液中の副甲状腺ホルモンの測定により可能となる.                         (平成6年1月17日採用)
著者名
松下 明,他
20
1
47-51
DOI
10.11482/KMJ20(1)47-51.1994.pdf

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