膝窩動脈外膜嚢胞の1例 一組織学的・免疫組織化学的検討- 膝窩動脈外膜嚢胞の1例を報告した.症例は53歳男性で間歇性跛行を主訴に来院した.左下肢の大腿動脈造影にて,膝窩動脈に狭窄が認められたため膝窩動脈血行再建術が施行された.切除された膝窩動脈の外膜には粘稠な液を入れた多房性嚢胞が存在していた.組織学的には嚢胞壁は結合織で構成され,内面には所々に扁平な細胞が存在していた.これらの扁平細胞は免疫学的にビメンチンに陽性で,第8因子関連抗原, QB-10,ケラチンに陰性であった.また,これらの細胞周囲にはラミニン陽性物質はみられなかった.我々は病因論的にガングリオン類似した外膜の粘液変性と考えた. (平成5年11月10日採用)