h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

t_toukou

甲状腺乳頭癌におけるground glass nuclei の出現に関する研究-パラフィン包埋標本における各種固定液の影響についてー

甲状腺乳頭癌に高頻度に出現するground glass nuclei (GGN)に関してその細胞核の形態学的特徴を解析し,ホルマリン固定の期間および固定液の差による出現頻度を検討し,さらに,他の結節性病変と比較することによりGGNの乳頭癌における特異性を研究した.1 ) GGNの評価にあたっては,光学顕微鏡を用いた著者の視覚的判定と画像解析装置IBASを用いて数量化した成績はよく一致し,視覚的評価が客観性を有するものであることが示唆された.2)乳頭癌20例において腫瘍組織中にclear nucleus (CN)が認められたものは11例(55%)であり, pseudoclear nucleus (PN)は100%に認められた.また,各疾患について細胞1,000個中のCNおよびPNの出現頻度をみると,乳頭癌では平均0.51%であった.一方,濾胞癌,濾胞腺腫,腺腫様甲状腺腫においてはCNが出現したものは1例も認められなかった.また,PNの出現頻度は乳頭癌で平均18.3%,濾胞癌で平均1.5%,濾胞腺腫で平均2.8%,腺腫様甲状腺腫で平均1.8%であった.乳頭癌におけるPNの出現頻度は他の疾患群のそれと比して有意に高値であった(p<0.001).これらの成績より,CNとPNの両者を併せてGGNと規定した方が実際的であると思われた.3 ) 20%ホルマリン液中に5年間保存されていた乳頭癌組織中のGGNの出現頻度は,同固定液中で24~48時間固定後の組織のそれに比べ有意に高値であった(p<O.Ol).4 ) 固定液の種類によるGGNの出現頻度の差を観察すると,乳頭癌ではホルマリン液の濃度が高くなるほど高頻度にみられ,複合固定液での出現頻度は20%ホルマリン液のそれに比して高値であった.また,非乳頭癌でも同様の成績であった.(平成6年2月25日採用)
著者名
清野 徳彦
20
2
67-76
DOI
10.11482/KMJ20(2)67-76.1994.pdf

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