Online edition:ISSN 2758-089X
TNM分類からみた大腸癌の外科治療成績
1974年1月から1993年12月までの20年間に,教室にて手術を施行した大腸癌974例を検討した. TNM分類からみた各Stageの他病死を含む5年,10年累積生存率は,結腸ではI:85%, 82%, II : 83%, 74%, III : 53%, 44%, IV: 8%, 8%で,直腸はI :88%, 82%,II : 77%, 58%, III:47%, 38%, IV: 7%, -%であった.早期癌の5年,10年累積生存率をみると,結腸:95%, 85%,直腸:88%, 83%であり,良好な治療成績がえられた.したがって,大腸癌の治癒率を向上させるためには,早期癌症例の割合を高める努力が必要といえる.手術的な治療効果を最も発揮すべきStage II,IIIに関しては,リンパ節転移の高度なIllbで不十分な結果となり,特に直腸癌での徹底したリンパ節郭清や,手術手順の見直しが必須課題となる.切除手術に限界があるStage IV症例では, reduction surgeryの後,免疫化学療法,放射線療法,凍結手術療法などを用いた集学的治療に期待がよせられた. (平成6年5月9日採用)
- 著者名
- 山本 康久,他
- 巻
- 20
- 号
- S
- 頁
- 199-204
- DOI
- 10.11482/KMJ20(S)199-204.1994.pdf