Online edition:ISSN 2758-089X
直腸癌縫合不全症例の検討一背景因子と治療を中心にー
過去17年間に当科で経験した直腸癌前方切除術225例中,縫合不全を来した22例(9.8%)を対象として,縫合不全発生に関与する因子,手技上の問題点,進行度との関連性,治療法などについて検討した.縫合不全発生のrisk factorとして糖尿病,低蛋白血症,輸血の有無,手術時間などが注目された.全例の縫合不全発現時期は術後8.6日,このうちmajorleak群では5.6日, minor leak群のみでは9.3日であった(major leak とminor leakは腸内容の流出量及び全身症状の程度で判断した.)minor leak 群は全例保存的に治癒したが, major leak 群では5例中2例(40%)に再手術を余儀なくされた.死亡例はmajor leak群の5例中3例(60%)にみられた.全身管理とともに早期の人工肛門造設が重要であると思われた. (平成5年1月22日採用)
- 著者名
- 岩本 末治,他
- 巻
- 19
- 号
- 1
- 頁
- 37-43
- DOI
- 10.11482/KMJ19(1)37-43.1993.pdf