h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

躁病期にヒステリー症状を呈した1症例

躁うつ病の躁病期にヒステリー症状を呈した症例を報告した.症例は28歳の女性で24歳より躁うつ病でK病院に2年間の入院歴がある.K病院入院中婦人科的手術を要する状態になり当大学へ転院となる.入院中爽快気分,活動の亢進,多弁,観念奔逸といった精神症状だけでなく失神発作を繰り返し,病状の安定と共に失神発作も消失していった.10ヵ月の外来通院後,躁状態が再燃し再入院となり再び入院中失神発作を繰り返し病状の安定と共に消失していった.躁うつ病とヒステリーとの関連は古くから論ぜられており,下田は執着気質者がうつ病を発症する際の機制は「疾病への逃避反応」と説明し,ヒステリーの心理機制と関連があることが示唆され,木村はうつ病者と躁病者に「役割交換の世界における秩序志向性」という面での共通性があることを指摘しており,うつ病者にみられるヒステリーは同様に躁病者にもみられることと思われた.    (平成5年1月19日採用)
著者名
森下 茂,他
19
1
55-57
DOI
10.11482/KMJ19(1)55-57.1993.pdf

b_download