Online edition:ISSN 2758-089X
SLE患者における末梢血CD4+CD45RA+リンパ球の減少
膠原病の病態としてT細胞の異常が示唆され, SLEにおいては末梢血CD4+CD45RA+細胞の低下が報告されている.私共は,この細胞の低下が,リンパ球そのものの異常によるのか,あるいは,他の外的因子が関与して起こるのかを検討した.まず,血清因子を除外するために,リンパ球を分離,培養し,培養の前後でCD4+CD45RA+細胞を測定した.更に, SLE患者血清がリンパ球に及ぼす影響をリンパ球のカルシウムイオン取込みの変化によって検討した. SLE患者では, CD4+CD45RA+リンパ球は,末梢血より分離直後健常人より低下していたが,分離1週間後には健常人と同程度まで回復した.また,患者血清を正常リンパ球に反応させると,リンパ球のカルシウムイオン取込みは,健常人血清を反応させた場合より増加した.これらの結果から, SLEでは患者の血液中で,リンパ球が何らかの持続的刺激を受けている可能性が強く示唆された. (平成5年4月27日採用)
- 著者名
- 延藤 俊子
- 巻
- 19
- 号
- 2
- 頁
- 83-89
- DOI
- 10.11482/KMJ19(2)83-89.1993