h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

t_toukou

Palmitoyl Carnitineの蝸牛電気現象に及ぼす作用

Na+-K+ポンプ阻害剤のPalmitoyl-DL-Carnitineを用いて,そのEndocochlear DC potential (EP)とCochlear Microphonics (CM)に対する作用を検討した.1×10-4M Palmitoyl Carnitine の外リンパ灌流によりEPは+8~+1 6 mV に ,CMは30~39%まで低下した. ouabain灌流時のEPおよびCMの時間的変化とを比較するとEPについてはほぼ同様の経過をたどるが,CM振幅はある程度まで保たれており, Palmitoyl Carnitineの有毛細胞に対する直接効果が示唆された.Palmitoyl Carnitineはもともとproteinkinase C (PKC)の作用を抑制する薬物であり,そのEPに対する作用はNa+-K+ポンプの抑制を介するばかりでなくPKCへの影響も考えられたため, PKCの選択的抑制物質である1-(5 - isoquinolinesulfonyl) -2- methylpiperazine dihydrochloride (H-7)ならびにPKC活性物質Phorbol 12-Myristate, 13-Acetate (PMA)の外リンパ腔投与を試みた. H-7はPalmitoyl Carnitine よりも作用は弱いものの, PKCを阻害することによってEPの低下をもたらしたと判断され, PKCが血管条Na+-K+ポンプに調節的に働いている可能性が示唆された.                     (平成5年5月25日採用)
著者名
吉弘 剛
19
2
91-101
DOI
10.11482/KMJ19(2)91-101.1993

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