h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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臭化エチジウム脊髄内注入による実験的脱髄病巣におけるミクログリアの動態

マウス脊髄後索内に臭化エチジウム(EBr)を注入して作成した脱髄病巣におけるミクログリア/マクロファージ系細胞の動態を,クラスⅡ MHC (la)抗原発現を中心として免疫組織化学的ならびに免疫電顕的に検索した.Mac-1およびF4/80免疫組織化学染色では,3日後円形の陽性細胞が主に障害周囲部に出現し,6~8日後病巣部で増加し,8~10日後ピークに達し,その後徐々に減少した.その形態は,病巣部ではplumpなマクロファージ様を,正常部では長い分岐した突起を有するramifiedミクログリア様を示した.Ⅰa免疫組織化学染色でも同様の経過をたどり,3日後円形および紡錘形の陽性細胞が障害周囲部に出現し,その後病巣部で増加し,10日以降減少した.また,2週後より障害周囲部に長い分岐した突起を有するramifiedミクログリア様のⅠa陽性細胞が出現した.免疫電顕では,Ⅰa陽性細胞の細胞体内にmyelin debrisが観察され,貪食能が示唆された.ミクロクリア/マクロファージの変化およびla陽性細胞の出現は,髄鞘崩壊以前より見られ,長期にわたり存続した.病巣部で見られたマクロファージ様のMac-1陽性細胞は,単球由来細胞と既存のミクログリア由来細胞の両方が存在していると考えられた.また, Ⅰa陽性細胞は,一部のMac-1陽性細胞が活性化されⅠa抗原を発現していると考えられた.EBr注入による脱髄疾患モデルは,非免疫性神経疾患におけるⅠa発現を検討するモデルとしても有用であると考えられた.       (平成5年8月28日採用)
著者名
伏見 滋子,他
19
3
169-179
DOI
10.11482/KMJ19(3)169-179.1993

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