Online edition:ISSN 2758-089X
関節固定の靱帯に及ぼす早期の影響―生体力学的特性および横断面積の変化の検討-
大腿骨一前十字靭帯一脛骨複合体の生体力学的特徴と,前十字靭帯の横断面積に対する関節固定の早期の影響を,ラットを用いて調査した.ラットの片側膝関節を1,2,4,6週間固定して得られた標本を,非固定側を対照群として評価,比較した.1週間の固定で,標本はすでにlinear load (直線負荷)とmaximum load (最大負荷)において,有意な減少を示し(72%, 77%), 6週目まで徐々に減少した.しかしながら,剛性は有意な変化を示さなかった.標本の破断形態は,ほとんど靭帯実質部の損傷であった.また,固定側の靭帯の横断面積は,非固定側に比べて1週目から有意に減少していた(87%).これらの結果より,関節固定は靭帯自体の生体力学的特性および横断面積に早期から影響を及ぼすことが示唆された. (平成5年9月30日採用)
- 著者名
- 渡辺 進
- 巻
- 19
- 号
- 3
- 頁
- 187-197
- DOI
- 10.11482/KMJ19(3)187-197.1993