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単離モルモット心筋細胞の作成方法とその電気的活動

単離心筋細胞は様々な実験に用いられているが詳細な作成方法について記載したものは少ない.そこで,単離心筋細胞の作成手技について述べ,さらに得られた細胞の活動電位・短縮量を測定し,得られた細胞が電気生理学的実験の対象として適当か否かを検討した.Ⅰ.単離細胞の採取率に関与する因子[方 法] 単離された細胞は,杆状(rod shape)を示し明瞭な横紋が認められた.一部は球状(round shape)で凹凸のある不規則な形を示した.横紋の明瞭な杆状の細胞が全細胞の中に占める割合を採取率とし,採取率を向上させるためのいくつかの条件を検討した.[成 績]①灌流液の温度は,37℃で最も採取率が高かった.②灌流液のpHは7.4が至適であった.③collagenase溶液の濃度と灌流時間は, Yakult社製collagenaseを40U/mlの濃度で3~5分間が適当であった.④albumin添加の有無では差はなかった.⑤モルモットの週齡では差はなかった.⑥Milli-Qで作成した18MΩ以上の水を利用すると採取率は向上し一定した.Ⅱ . 単離心筋細胞の性質[方 法]活動電位は細胞内微小電極から1 Hzで通電刺激し導出し,短縮は細胞外刺激を与え,細胞端の動きを顕微鏡ビデオカメラで分析した.[成 績]静止電位は-86mV,オーバーシュートは+30mV,活動電位の頂点からamplitudeが25%に減衰した時点の活動電位幅は平均280msecであり,自由短縮中の短縮率は8%であった.[総 括] 心筋細胞の単離法の手技について詳細に述べた.この際,より高い採取率を得ることを目的として,採取率に影響する因子について検討した.その結果,灌流液は温度が37℃でpHが7.4において採取率が高かった.しかしcollagenase溶液のalbumin添加や,モルモットの週齢が採取率に及ぼす影響は少なかった.その他の因子では水の純度の影響が大きかった.採取されたrod-shaped cellの活動電位・短縮量はともに細胞集団の試料や単離細胞について知られている値と同様であり,従って電気生理学的実験の対象として適当であることが判明した.              (平成4年5月7日採用)
著者名
井上 省三,他
18
2
81-86
DOI
10.11482/KMJ18(2)81-86.1992.pdf

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