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Online edition:ISSN 2758-089X

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広汎性発達障害を伴う強迫性障害患者のウェクスラー式知能検査所見

 近年,精神科臨床において,治療に難渋する例に広汎性発達障害(PDD)の併存が気づかれることが注目されている.治療抵抗性の強迫性障害(OCD)患者ではPDD を併存していることが多いことが報告されている.OCD 患者の治療の初期にPDD の併存に気づくことができると,より効果的な治療に導くことができると考えられる.しかし,特に成人のPDD を伴うOCD 患者の特徴についての研究はわずかしかない. 本研究ではOCD 患者64名(18歳~61歳,男性25名,女性39名)をPDD 群と非PDD 群に分け,成人用ウェクスラー式知能検査第3版(WAIS-Ⅲ)の所見を調べた.64名中19名(男性10名,女性9名)をPDD と診断した.19名の内訳は,自閉性障害が2名,アスペルガー障害が10名,特定不能のPDD が7名であった.本研究以前にPDD だと既に診断されていた者はなかった. 結果は,PDD 群と非PDD 群で年齢や強迫症状の重症度,FIQ(全検査知能指数),VIQ(言語性知能指数),PIQ(動作性知能指数)に差はなかったが,VIQ-PIQ はPDD 群で有意に高かった.WAIS-Ⅲ下位検査のロジスティック回帰分析では,「類似」の高さと,「符号」の低さがPDD を伴うことと有意に関連していた. 以上から,OCD 患者を診療する際は,WAIS 検査の「類似」の高さと「符号」の低さに注目することで,PDD の存在に気づきやすくなると考えられた.(平成24年6月15日受理)
著者名
村上 伸治
38
3
133-141
DOI
10.11482/2012/kawasaki-igakkaishi.38(3)133-141.2012.pdf

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