Online edition:ISSN 2758-089X
M cellの起源とその動態に関する研究
M cellの起源,細胞動態を確認する目的でモルモットに〔6 -3H〕-thymidineを投与し光顕並びに電顕オートラジオグラフィーを行った.分割投与群では,初回投与後48時間でドームの陰窩付近のM cellに標識を認めた.これは吸収細胞の核に標識される時期と一致していた.72時間では成熟M cellにも標識された.一回投与群72時間において,ドーム形成する濾胞上皮細胞(FAE)層と絨毛上皮細胞層の基部から標識細胞の上端までの長さの比較と杯細胞の吸収細胞に対する割合の比較では,いずれもドームに隣接する絨毛はFAE層より高く,パイエル板絨毛よりも低かった.ドームに隣接している絨毛は, FAEを供給する陰窩からも供給されているためと考えられた.このドームに隣接している絨毛にもM cell様細胞を認めた.これらよりM cellの多くは,直接未分化陰窩細胞より分化すると考えられた. (平成4年9月24日採用)
- 著者名
- 大谷 公彦
- 巻
- 18
- 号
- 3
- 頁
- 163-172
- DOI
- 10.11482/KMJ18(3)163-172.1992.pdf