化学的消化法を用いた肝表在毛細リンパ管の走査型電子顕微鏡的研究 一硬変肝について一 肝被膜を用手剥離した後に化学的消化法(HCl-collagenase法)を利用する被膜剥離後化学的消化法を用いて,硬変肝の肝表在毛細リンパ管を走査電顕で観察し,次のような結果を得た.1.肝硬変では毛細リンパ管が減少していることと強い線維化のため,本法では一部の毛細リンパ管を非自由表面から観察することができたにすぎなかった.2.内皮細胞の小孔はほとんど観察されず,一般的な毛細リンパ管の形態であった.3.内皮細胞間隙の近傍に存在するいわゆるアンカリングフィラメントを三次元的に観察することができた.それは,内皮細胞の表面から微細網目状の構造で,周囲の結合組織へ束を形成しながら移行していた. (平成4年10月24日採用)