当教室における腺様嚢胞癌症例の検討 1977年から1991年までの15年間に当教室で経験した腺様嚢胞癌症例は9例で,頭頸部悪性腫瘍症例の中では1.34%に相当した.年齢は35歳から76歳までで60歳代に多く認められた.性別は,男性4名,女性5名で男女差は認められなかった.発生部位は上顎洞3例,口蓋2例,耳下腺,顎下腺,口唇,鼻中隔が各1例であった.全例に外科処置を行い,切除不能例に対しては放射線療法,化学療法を併用した.腺様嚢胞癌は局所再発,転移を起こし易いがその発育は緩慢であるために,10年余にわたる経過観察の必要性がある. (平成4年8月7日採用)