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ラット脳内細胞内情報伝達系に及ぼすlithium, carbamazepine, methamphetamineの影響-イノシトールリン脂質代謝系から一

臨床的に双極型感情障害の患者には一般的にlithium (Li)が使用されるが,近年,情動調節薬(mood stabilizer)のーつとしてcarbamazepine (CBZ)も注目をあびている.しかし,その作用機序についてはなお不明な点が多く,一致した見解が出ていない.以前からLiがイノシトールリン脂質代謝系に抑制的に働くということはいわれており,同様の作用機序がCBZにおいても推定できる.そこで今回,ラット脳内イノシトールリン脂質代謝系に及ぼすCBZの影響について比較検討し,同時に覚醒剤の一つで精神分裂病の病因研究にも用いられるmethamphetamine (MAP)の同代謝系に及ぼす影響も比較検討し以下の結果を得た.1)ラット脳内イノシトールリン脂質代謝系にa1-adrenergic receptorの関与が示唆された. 2) Liと同様, CBZにおいてもcontrolと比較してinositol 1-phosphate(IP1)の有意な蓄積を認め,Liと類似した作用機序でCBZも抗躁効果を有するものと考えられた.3)中枢神経興奮作用を有するMAPはラット脳内イノシトールリン脂質代謝系を亢進させる作用が示唆された. 4) MAPの作用機序を利用してLiとCBZを比較したところIP1inositol biphosphate (IP2), inositol triphosphate (IP3),の蓄積に違いがみられIP3からIP2へ,IP2からIP1へ,IP1からinositolへと代謝される時に作用するそれぞれのphosphataseに対する作用が異なっている可能性があることが推定された.(平成4年10月20日採用)
著者名
新門 弘人
18
3
219-226
DOI
10.11482/KMJ18(3)219-226.1992.pdf

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