Online edition:ISSN 2758-089X
臭化エチジウム脊髄内注入による実験的脱髄と髄鞘再生の形態学的研究
マウス脊髄後索内に臭化エチジウム(EBr)を注入して脱髄疾患モデルを作成し,その脱髄と髄鞘再生過程を光顕的,免疫組織化学的ならびに電顕的に検索した.EBr注入による障害は,障害中心部,障害辺縁部,障害周囲部の3領域に分かれた.障害中心部では,高度の脱髄が生じたが,脱髄はオリゴデンドログリアおよびアストロサイトの変性,壊死を主とするもので,軸索は比較的よく保持されていた.同部位では,主にSchwann細胞による末梢性髄鞘再生が認められ,このSchwann細胞は,血管壁の自律神経由来であることが示唆された.障害辺縁部では,脱髄後オリゴデンドログリアによる中枢性髄鞘再生とアストロサイトによる修復が認められた.このオリゴデンドログリアによる髄鞘再生にはアストロサイトの関与が示唆された.障害周囲部では,脱髄は観察されず,アストロサイトの反応性増殖のみが認められた. (平成4年8月31日採用)
- 著者名
- 伏見 滋子,他
- 巻
- 18
- 号
- 3
- 頁
- 227-236
- DOI
- 10.11482/KMJ18(3)227-236.1992.pdf