耳下腺炎にて紹介された扁桃周囲膿瘍の1症例 今回,我々は68歳の女性で内科医院より左耳下腺炎との診断にて紹介されたが,現疾患は左扁桃周囲膿瘍とそれに続発する左副咽頭間隙膿瘍および左耳介部の皮下蜂窩織炎であった症例を経験した,初発症状が咽頭痛と発熱で近医にて抗生剤を処方されたが症状が増悪し,悪寒戦慄,開口障害が出現したため入院となった.診察に際して口腔内の所見をとっていればその後の状態の悪化が予防出来たと考えられ,口腔内の診察の有無で診断が異なってくることを教えられた症例であった.扁桃腺炎および扁桃周囲膿瘍における起炎菌や発生機序および治療について若干の文献的考察を行ったので報告する. (平成4年12月8日採用)