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Online edition:ISSN 2758-089X

多発性骨髄腫に対するVAD療法の臨床的評価

治療抵抗性の多発性骨髄腫に有効性が報告されているVAD療法を,4例の骨髄腫初回治療例,4例の治療抵抗例に試みた.症例数は少数ながら,評価可能6例のうち, CR(complete response) 2例, PR (partial response) 3例の成績を得,奏効率は83.3%であった.また,M蛋白の半減もほぼ1コースで得られた.しかし, PS (performance status)の改善は全8例中4例に認められたのみであり,また転帰も早期死亡で評価不能となった2例を含め,4例の死亡例をみた.加えて,副作用はG-CSFや血小板輸血を必要とする程度の骨髄抑制が6例に生じ,それ以外にも間質性肺炎,糖尿病性昏睡,精神障害など可逆性ながら重篤なものが認められた.今回の経験よりVAD療法は,初回もしくは治療抵抗例の寛解導入療法に有効と考えられるが,副作用に対する厳重な注意と,本療法に固執することなく維持療法へ移行するような使い方が,現段階では適当と考えられた.(平成3年2月5日採用)
著者名
福島 達夫,他
17
1
11-17
DOI
10.11482/KMJ17(1)11-17.1991.pdf

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