Online edition:ISSN 2758-089X
ヒト赤芽球におけるSpectrinおよびIntegral Protein の発現と分化に関する研究
ヒト赤芽球におけるband 3やglycophorin A (GPA)を主体とするintegral proteinとspectrinとの発生の相互関係を明らかにする目的で,末梢血前駆細胞(BFU-E)由来の赤芽球系培養細胞(Wada, H ., et al. :Blood 75 : 505―51 1 , 1990)1)を用いて免疫化学的に検討した.蛍光抗体法では,培養第2相のday 3 ですでにspectrin陽性細胞を認め, integral protein はこれより遅れ,赤芽球成熟に伴ってday 5でGPA, day 7でband3が順次陽性を示した.さらにSDS-PAGE後のwestern blot法による解析では, spectrinはday 5, day 7ではα鎖優位の発現を示したが,より成熟赤芽球の細胞集団であるday9では,α鎖,β鎖が末梢血赤血球同様に等量発現していた.またこの段階の成熟赤芽球では細胞質分画,膜分画ともにα鎖,β鎖が等量に発現し, spectrinが細胞膜に結合,固定されていく様相が明らかとなった. (平成3年2月25日採用)
- 著者名
- 和田 秀穂
- 巻
- 17
- 号
- 1
- 頁
- 18-24
- DOI
- 10.11482/KMJ17(1)18-24.1991.pdf