蝸牛内直流電位に対するDimethyl Sulfoxideの作用 蝸牛内直流電位(EP)に対するCaイオンの関与を検討するため, Ca-ATPase抑制作用を有するdimethyl sulfoxide (DMSO)を使用した. DMSO ( 2 % v/v以上)を含む人工外リンパを鼓室階から灌流するとき,EPは一過性に上昇した後低下した.最初のEP上昇は,前庭階から灌流するときは認め難いことから, DMSOがコルチ器に作用しその電気抵抗を増大することによると考えられた.後続のEP低下の程度はDMSOの濃度に依存しており, 20% v/v濃度では10分以内に0mVに低下した. DMSOがイオン電流を非特異的に抑制することから,EPの低下は血管条細胞へのCa2+流入減少による結果と考えられた.(平成3年2月26日採用)